ビルの給水ポンプの種類と選び方|失敗しない判断基準を解説
ビルの水回りを支える給水ポンプは、種類ごとに仕組みも維持費も大きく異なり、選び方を誤ると水圧低下や余計な電気代につながりかねません。本記事では、高置水槽方式・加圧給水方式・直結増圧方式という3つの給水方式の違いを整理し、ビルの規模や水質、初期費用から判断する選び方、交換時期やメンテナンスの目安までを解説します。設備更新を控えるオーナーや管理会社の判断材料としてご活用ください。
1. ビルの給水ポンプとは?役割と基本の仕組みを解説

1.1 なぜビルには給水ポンプが必要なのか
ビルに給水ポンプが欠かせないのは、水道本管の水圧だけでは中高層階まで水が届かないためです。水道本管の圧力は一般に低層の建物を想定した水準にとどまり、階数が上がるほど水は届きにくくなります。
その結果、ポンプで水を加圧して押し上げる仕組みが必要になります。ポンプがなければ、上階でシャワーの湯量が細くなったり、朝夕の使用が集中する時間帯に水が出にくくなったりする事態が起こりがちです。
給水ポンプがビルで担う役割は、次のように整理できます。
- 水圧の確保 本管の圧力では届かない上階へ、必要な水圧を加えて水を送ります。
- 水量の安定 複数の住戸や店舗が同時に使っても、水量が落ちにくい状態を保ちます。
- 使用状況への追従 昼夜で変わる使用量に合わせ、送る水の量を調整します。
こうした役割を1台の設備が担っているため、給水ポンプの選定や状態管理は、建物の住み心地や営業の継続性に直結します。ポンプへの理解は、後半で扱う選び方の前提になります。
1.2 給水ポンプが水を送り届ける基本の仕組み
給水ポンプは、モーターで羽根車(インペラ)を高速回転させ、その遠心力で水を吸い込み、押し出す仕組みで動いています。回転する羽根車の中心付近が低い圧力になって水を吸い込み、外周へ振り飛ばす力で水に圧力と流れを与えます。
遠心力で水に圧力を加える点が、給水ポンプの心臓部です。
多くのビルでは、この羽根車を回すモーターの回転数をインバータで制御し、蛇口の開き具合に応じて送る水の量を細かく変えています。深夜のように使用量が少ないときは回転を落とし、朝の使用が集中する時間帯は回転を上げるといった調整が自動で行われます。
仕組みそのものは共通していても、水をどこにためて、どの経路で送るかによって給水方式は分かれます。次章では、その代表的な3方式を順に見ていきます。
2. ビルの給水ポンプの種類|代表的な給水方式3つと特徴

2.1 高置水槽方式(揚水ポンプ)の仕組みと特徴
高置水槽方式は、受水槽にためた水を揚水ポンプで屋上の高置水槽までくみ上げ、あとは重力による自然流下で各階へ給水する方式です。ポンプは水を上へ運ぶ役割に専念し、各住戸への配水はタンクの高さを利用して行います。
この方式の特徴は次のとおりです。
- 停電時にも一定時間給水できる 高置水槽に残った水が落ちる間は、ポンプが止まっても水が使えます。
- 水圧が安定しやすい 落差で給水するため、時間帯による水圧の変動が小さくなります。
- 古い建物に多く見られる 長く使われてきた方式で、既存の中高層ビルに残っているケースが多いです。
- タンク2か所の管理が必要 受水槽と高置水槽の両方を清掃・点検する手間がかかります。
停電に強い一方で、屋上への荷重や2つのタンクの維持管理という負担を抱えます。災害時の給水を重視するビルでは、依然として有力な選択肢の一つといえます。
2.2 加圧給水方式の給水ポンプの仕組みと特徴
加圧給水方式は、受水槽にためた水を加圧ポンプで直接各階へ送り出す方式で、高置水槽を使わない点が高置水槽方式との違いです。ポンプが使用量を検知し、インバータで回転数を変えながら、必要な分だけ水を押し出します。
屋上にタンクを置かないため、高置水槽方式と比べて屋上の荷重やタンクの管理負担を減らせます。中規模のビルやマンションで広く採用されており、更新時にこの方式へ切り替える例も見られます。
ただし、水を送る力をポンプに全面的に頼るため、停電するとポンプが止まって給水も止まります。非常用電源のないビルでは、停電時の断水をどう補うかを別に考える必要があります。受水槽は残るので、貯水による備えは確保しつつ、屋上設備を軽くしたいビルに向いた方式です。
2.3 直結増圧方式の給水ポンプの仕組みと特徴
直結増圧方式は、受水槽を設けずに水道本管へ直接つなぎ、給水管の途中に置いた増圧ポンプで水を押し上げる方式です。ためる工程がないため、本管の水がそのまま各住戸へ届きます。
主な特徴は次のとおりです。
- 衛生的に保ちやすい タンクにためないため、水がよどみにくく水質を保ちやすい方式です。
- 省スペース 受水槽や高置水槽が不要になり、敷地や屋上を有効に使えます。
- タンク清掃が不要 貯水槽がない分、清掃や関連する点検の負担が軽くなります。
- 断水時は給水が止まる 本管が断水すると、ためる水がないため供給も止まります。
- 採用条件がある 水道事業者の給水条件や配水圧、建物規模などにより採用できない場合があります。
貯水しない分だけ災害時の断水には弱いものの、衛生面と省スペースの利点は大きく、近年の中小規模ビルで採用が増えている方式です。建物の規模が条件に収まるかどうかが、採否の分かれ目になります。
3. ビルの給水ポンプの種類を比較|メリット・デメリット早見表

3.1 3種類の給水ポンプを設置場所・電気代・水質で比較
3つの方式は、どこに設備を置き、どのくらい電気を使い、水質や停電時の挙動がどう変わるかで性格が分かれます。まずは全体像を一覧で確認し、自社ビルの優先順位と照らし合わせてください。
以下の表は、各方式の傾向を比較軸ごとに整理したものです。実際の数値は建物条件で変わるため、目安として捉えてください。
| 比較軸 | 高置水槽方式 | 加圧給水方式 | 直結増圧方式 |
|---|---|---|---|
| 主な設備の場所 | 受水槽と屋上高置水槽 | 受水槽と加圧ポンプ | 増圧ポンプのみ |
| 電気代の傾向 | 使用分のみ揚水で抑えやすい | 使用量に応じて変動 | 使用量に応じて変動 |
| 水質の保ちやすさ | タンク2か所で管理が必要 | 受水槽の管理が必要 | ためないため保ちやすい |
| 停電時の給水 | 一定時間は給水できる | 停止する | 停止する |
| 省スペース性 | 低い | 中程度 | 高い |
※電気代や水圧、採用可否は建物の規模や配管条件、使用状況、水道事業者の条件などによって異なります。詳細は現地調査のうえ判断する必要があります。
表のとおり、停電への強さと省スペース性はおおむね逆の関係にあります。どの軸を優先するかで最適な方式が変わるため、次項では特に差が出やすい3つの観点を掘り下げます。
3.2 電気代・水質・停電時対応で見る各方式の違い
方式選びで迷いやすいのが、電気代・水質・停電時対応の3点です。ここが判断の分かれ目になりやすいため、それぞれの傾向を押さえておくと選定がぶれにくくなります。
- 電気代 建物規模や使用状況、ポンプの性能やインバータ制御の有無などによって変わるため、方式だけで一概に優劣は付けられません。更新時はライフサイクルコストを含めて比較することが重要です。
- 水質 直結増圧方式は水をためないため、3方式の中では水質を保ちやすい方式です。
- 停電時対応 高置水槽方式はタンクの残水で一定時間しのげますが、加圧・増圧方式は停止します。
- 省スペース 直結増圧方式はタンクが不要で、屋上や敷地を他の用途に回せます。
これらは一長一短で、すべてを満たす方式はありません。自社ビルが最も避けたいリスク、たとえば断水なのか電気代なのかを先に決めておくと、方式の絞り込みが進みます。
4. ビルの給水ポンプの種類別に見る失敗しない選び方
4.1 ビルの規模・階数・戸数に合う給水ポンプの選び方
給水ポンプ選びの出発点は、ビルの規模・階数・戸数を給水方式の適用範囲と照らし合わせることです。方式ごとに得意な規模帯が異なるため、建物条件に合わない方式を選ぶと、水圧不足や過剰設備につながりかねません。
規模から考える際の目安は次のとおりです。
- 小〜中規模で貯水が必須でない 受水槽の要らない直結増圧方式が候補になりやすいです。
- 大規模、または貯水が必要 受水槽をもつ高置水槽方式や加圧給水方式が目安になります。
- 災害時の給水を重視 タンクに水を確保できる受水槽方式が向いています。
- 敷地や屋上に余裕がない タンクの不要な方式で省スペース化を図りやすいです。
規模と戸数はあくまで出発点であり、実際には水質や費用も合わせて判断します。まずは自社ビルがどの規模帯に当てはまるかを確認したうえで、次項の判断ポイントへ進んでください。設備の選定に迷う場合は、専門会社に建物条件を伝えて相談する方法もあります。
4.2 水質・省スペース・初期費用で選ぶ判断ポイント
規模で候補を絞ったあとは、水質・省スペース・初期費用の3点で最終的に判断します。優先順位を先に決めておくと、複数方式で迷ったときの決め手になります。
水質を最優先するなら、水をためない直結増圧方式が有力です。タンクにためる方式は清掃や管理を丁寧に行えば衛生を保てますが、貯水しない方式は構造的に水がよどみにくくなります。飲食テナントが多いビルなど、水質を重視する建物では検討する価値があります。
敷地や屋上に余裕がない場合は、受水槽を必要としない方式が省スペースの面で優位です。タンクの撤去でできた空間を、駐輪場や設備の更新スペースに転用できる場合もあります。
初期費用については、導入時の工事費だけでなく、清掃・点検・電気代といった維持費まで含めた総額で比べることが欠かせません。導入費が安くても維持費がかさむ方式もあり、数年単位で見ると評価が変わるためです。目先の金額だけで決めず、運用期間全体を見据えて判断してください。
4.3 既存設備から給水ポンプを更新する際の確認手順
既存設備を更新する際は、思いつきで方式を変えるのではなく、現状を順に確認してから更新方式を決めることが失敗を防ぎます。現況の把握を飛ばすと、配管やスペースが新方式に合わず、工事の途中で計画変更を迫られる場合があります。
更新時は次の手順で確認を進めると整理しやすくなります。
- 現在の給水方式を確認する 高置水槽・加圧・増圧のどれで運用しているかを把握します。
- 設置スペースを確認する ポンプやタンクの寸法が、既存の機械室や屋上に収まるかを調べます。
- 配管の状態を確認する 口径や劣化の程度を確認し、配管も併せて更新すべきかを判断します。
- 受水槽の有無と容量を確認する 貯水を残すか、直結方式へ切り替えるかを検討します。
- 更新方式を決定する 以上を踏まえ、同方式での更新か、別方式への変更かを決めます。
この5つを押さえておけば、現地調査や見積もりの精度が上がり、追加工事の発生を抑えやすくなります。更新は方式変更を伴うこともあるため、早い段階で専門会社に現況を見てもらうと判断がしやすくなります。
5. 給水ポンプの寿命・交換時期とメンテナンスの目安
5.1 給水ポンプの寿命と交換時期の判断基準
給水ポンプの交換は、おおむね設置から10年前後が一つの目安とされています。使用状況やメーカーによって幅はありますが、一般的な耐用年数は10〜15年程度とされ、10年を超えると本体の交換を検討する時期に入ります。
寿命や交換時期を見極める際の判断材料は次のとおりです。
- 稼働年数 設置から10年前後を、点検強化と交換検討の節目とします。
- 部品供給の状況 製造終了から時間が経つと、10年超で部品が入手しにくくなるおそれがあります。
- 異音・振動 運転音や振動が以前より大きくなった場合は、内部の摩耗が疑われます。
- 水圧の低下 上階で水の出が悪くなるなど、性能の低下が見られたら点検の合図です。
年数だけでなく、こうした日々のサインを合わせて見ることが、突然の故障を避ける近道になります。部品が手に入らなくなると修理での対応が難しくなるため、更新は余裕をもって計画すると安心です。
5.2 故障を防ぐ定期点検・オーバーホールの目安
給水ポンプの故障を防ぐには、本体を交換する前の段階で、定期点検とオーバーホール(分解整備)を計画的に行うことが有効です。摩耗しやすい部品を早めに交換すれば、突発的な停止を減らし、ポンプ全体の寿命を延ばしやすくなります。
オーバーホールの周期は、一般にはおおむね4〜7年ごとが目安とされています。この整備では、軸受やシールといった消耗部品を分解して点検・交換し、初期に近い状態へ整えます。日常的な点検で運転音や水漏れ、圧力の変化を確認しておくと、整備の要否を早めに判断できます。
点検やオーバーホールを怠ると、ある日突然ポンプが止まり、建物全体が断水する事態になりかねません。復旧を待つ間の入居者やテナントへの影響を考えると、予防的な整備の意味は大きいといえます。設備の状態に不安がある場合は、給排水設備の専門会社へ点検を依頼する方法があります。
5.3 受水槽方式のビルで必要な法定点検
受水槽をもつビルでは、任意のメンテナンスとは別に、法律で定められた点検義務がある点に注意が必要です。とりわけ受水槽の有効容量が10立方メートルを超える場合、「簡易専用水道」に該当し、水道法にもとづく検査が求められます。
受水槽方式のビルで押さえておきたい点は次のとおりです。
- 年1回以上の法定検査 簡易専用水道は、登録検査機関による検査を1年に1回以上受ける義務があります。
- 貯水槽の定期清掃 受水槽・高置水槽の清掃も、あわせて定期的に行う必要があります。
- 管理記録の保管 清掃や検査の記録を残し、衛生状態を確認できるようにしておきます。
- 適切な管理義務 法令に基づく検査・管理が求められ、適切な管理を怠ると行政指導などの対象となる場合があります。
これらは設置者や管理者の義務であり、怠ると衛生上のリスクだけでなく法令違反にもつながります。受水槽を残す方式を選ぶ際は、こうした維持管理の手間まで含めて検討することが欠かせません。
6. ビルの給水ポンプの選定・交換ならエジコ・ピーディーへ
6.1 給水ポンプの診断から交換まで対応するワンストップ体制
給水ポンプの更新では、方式選びから施工、その後の保守までを別々の会社に頼むと、窓口が分かれて調整に手間がかかります。エジコ・ピーディー株式会社は、現状の診断から見積もり、施工、保守までを一貫して担うワンストップ体制で、この負担を軽くします。
たとえば「水圧が落ちてきたが、更新すべきか整備で足りるのか判断できない」といった段階から相談でき、現況の診断をもとに必要な対応を提案します。一つの窓口で計画から工事後の点検までつながるため、方式変更を伴う更新でも話が食い違いにくくなります。
さらに、24時間サポートによって、ポンプの停止など急なトラブルにも対応する体制を整えています。突然の断水は建物全体に影響するため、いつでも連絡できる窓口があること自体が、日々の運営の安心につながります。エジコ・ピーディーは、診断から保守までを通して支える体制を用意しています。
6.2 全メーカー対応と初期費用0円リースでビルの負担を軽減
給水ポンプの更新をためらう理由として多いのが、既存メーカーとの適合や、まとまった初期費用への不安です。エジコ・ピーディー株式会社は、全メーカー対応と初期費用0円のリースという2つの選択肢で、この不安に応えます。
負担軽減につながる主な仕組みは次のとおりです。
- 全メーカー対応 既設のポンプがどのメーカーでも、メーカーを問わず更新や修理に対応します。
- 初期費用0円リース まとまった導入費を用意しなくても、リースで設備を更新できます。
- 一貫対応 診断から施工・保守までを一社が担い、複数業者の調整を減らせます。
既存メーカーに縛られず選べるため、建物条件に合った機種を優先して検討できます。導入時の資金負担を抑えたいビルにとって、リースは有力な選択肢の一つになります。
6.3 給水ポンプの悩みを持つビルオーナー・管理会社の相談例
給水ポンプに関する相談は、故障してからだけでなく、不調や更新時期の見極めといった段階でも寄せられます。エジコ・ピーディー株式会社には、賃貸・分譲マンションのオーナーや管理組合、ビル管理会社から、さまざまな状況の相談が届きます。
たとえば「上階だけ水圧が下がってきた」「設置から10年を過ぎて交換時期が分からない」「停電時の断水に備えたいが方式を変えるべきか迷う」といった内容です。いずれも現地の状況によって適した対応が変わるため、建物ごとに診断したうえで方針を提案します。累計1,000件を超える施工実績を通じて蓄積した知見が、こうした個別の判断を支えています。
判断に迷う段階でも早めに相談しておけば、突然の故障で慌てる場面を減らしやすくなります。給水ポンプの種類選びや更新でお悩みのオーナー・管理会社は、状況の整理から相談してみてください。
7. まとめ:ビルの給水ポンプは種類と選び方を理解して最適化しよう
ビルの給水ポンプは、高置水槽方式・加圧給水方式・直結増圧方式の3つが代表的で、停電時の強さ、水質、省スペース性、電気代のどれを重視するかで最適な方式が変わります。すべてを満たす方式はないため、自社ビルが最も避けたいリスクを先に決めることが、選び方の出発点になります。
選定にあたっては、規模・階数・戸数で候補を絞り、水質・省スペース・初期費用で最終判断する流れが有効です。更新の際は、現方式・設置スペース・配管・受水槽の有無を順に確認すると、追加工事の発生を抑えやすくなります。
維持管理では、交換の目安を10年前後、オーバーホールを4〜7年ごととして計画し、受水槽をもつビルでは年1回以上の法定検査も忘れないことが欠かせません。種類と選び方、そして交換・点検の時期を正しく理解しておけば、水回りのトラブルを未然に防ぎ、建物の価値を長く保つことにつながります。診断から施工・保守まで一貫した対応を求める場合は、専門会社への相談を検討してみてください。
給水ポンプの種類選びと交換は、エジコ・ピーディーにご相談を
エジコ・ピーディー株式会社は、全メーカー対応で給水ポンプの診断から施工・保守まで一貫して担うワンストップ体制の専門会社です。初期費用0円のリースや24時間サポートも整えているため、更新か整備か迷う段階から相談できます。
給水ポンプの種類選びや更新でお悩みのオーナー・管理会社の方は、まずは建物の状況整理からお気軽にお問い合わせください。
